私は「化粧品の『素材』をつくる」という言葉に動かされて入社しました。
ところが、作業場として与えられたスペースは前の会社が残していったガラクタだらけで、足の踏み場もありませんでした。
しかし、「福沢諭吉から研究の場を提供された北里柴三郎もこんな感じだったのだろう。」と成功のための1ステップよしてとらえ、開発を進める意気込みになりました。
製造には技術、装置も大切ですが、忘れてはいけないのが「衛生」です。使用する装置や器具は、作業が終わるたびに全て分解し、洗浄しています。そうして初めてスタートラインに立てるのです。
「製品規格」の考え方も重要です。規格に基づいた再現性の高い製品の開発、そして衛生的な環境での製造は、私たちにとって当たり前かつ品質保証の基本的な考え方となっています。
私の最初のミッションは、製品としてのプラセンタエキスを完成させることでした。
エキスを製造する会社はすでに何社もあったので、後発の私たちは新たな価値、特徴を出さなければ見向きもされません。
そこで目をつけたのがエキスの「濃度」です。
開発には1年かかりましたが、絶対に成功させなければならないという一心で毎日取り組んでいたからこそ、1年でできたとも言えます。
「良いもの」を本当に困っているひとに届けたい。
より効果の高い高濃度エキスを作りたいという思いに加え、従来の製造過程で廃棄していた部分を活用したいという思いもありました。
当社のプラセンタ製造は、プラセンタを凍結融解によって「固体」と「液体」に分けることから始まります。
液体は一部を除き、化粧品などへの原料となります。固体から抽出したエキスは、液体と合わせてサプリメントなど健康食品の原料となります。材料となる胎盤のロスが少なく、コスト削減が見込める原料、それが「バージンプラセンタ®」です。
開発段階では膜分離工程での目詰まりがネックとなっていましたが、独自技術のHCP法(高濃度細胞液抽出法)が完成したことでクリアできました。
有効成分の濃度・活性を維持しつつ、安全性を確保しています。
私は開発が好きで、ずっと開発の仕事に関わってきました。
「良いものとはなにか」、「どうすれば届けることができるか」を考え、それを一つひとつ商品にして、本当に困っている人の元に届ける。
そのために私ができることが開発なのだと思っています。
1973年生まれ、O型、次男。広島大学大学院工学研究科修了。工学修士(発酵工学専攻)。
化粧品メーカーで勤務後、医薬品メーカーの商品開発・品質保証に15年携わり、2013年入社。責任技術者・品質保証責任者。
趣味は炭鉱巡り。