プラセンタは「胎盤」という動物由来の成分ですので、効果だけでなく危険性も知っておかなければなりません。
安全性を担保することは、原料メーカーにとって最も大切なことです。
以前操業していた膜分離装置の会社は、菌やウィルスの除去に関する研究を行っていました。
これまでの一般的なプラセンタエキスの製法は、熱処理が主流でした。熱処理は、菌やウィルスを死滅左折ことができますが、本来の有効成分も失われてしまうという課題もあります。
しかし、膜分離は熱を加えることがないので、安全性と効果を兼ね備えたエキスを作ることができると考えられていました。
私が入社後、間もなく京都大学ウィルス研究所との共同研究が始まりました。
私は膜分離技術の研究を引き継ぐため、京都に単身赴任を命じられました。
当時新婚だったのですが(笑)。
その研究が「高耐熱性ウィルスの低温加熱処理による不活化」「新規膜分離技術による最近・ウィルス除去」です。
研究には「攻略していく楽しみ」がある。
2年にわたる研究において膜分離の安全性は実証され、学術誌にも掲載されましたが、コストがかかること、生産量が限られることが新たな課題となっていました。
そこで、エキスの活性を維持しながらも、ウィルス安全性を確保することを目的として、低温加熱法を試すことになったのです。
低温加熱法では、プラセンタで注意すべき「E型肝炎ウィルス」が除去できることが重要でした。
E型肝炎ウィルスは熱に強いとされる「ブタパルボウィルス」を使って不活化条件を確率しました。
2015年頃からはプラセンタエキスを濃縮乾燥させ、パウダー状にする「フリーズドライ」にも取り組んでいます。
この製造工程のために、金属加工の技術を持つ本社で、特注のフリーズドライ装置も作りました。
フリーズドライの研究開発は、当社プラセンタエキスの品質をより高めるためでもありますが、技術の応用や展開も視野に入れています。
現在は九州大学と共同研究を行っています。
テーマは、『バージンプラセンタ純末の機能性評価』についてで、肌質改善や更年期症状改善についての効果を測るヒト臨床試験を実施しています。
また、外部の専門機関では、当社プラセンタ原液でのシワの改善を確認するヒト臨床試験を実施しています。
今後、より明確に効果をお伝えできることを楽しみにしています。
研究には、わからないことがわかっていく、攻略するような楽しみがあります。
私は研究だけでなく、製造や営業、マーケティングにも籍を置いていますが、これらは一見関連がないようでいて、実は研究に結びつくことがあります。たとえば営業先で話をしていて、不意に研究に関するヒントも思いつくということも経験してきました。その瞬間に、何にでもチャレンジできるこの環境をありがたいと思います。
B型、長男。福岡大学大学院理学研究科修了。理学修士(有機化学、生物化学専攻)。科学分野の企業において研究開発業務に従事。
故郷である北九州での転職活動後、2013年入社。
趣味はフットサル、サッカー観戦、自転車、星など多趣味だが、家族には一筋。