化粧品原料の肌への影響をいつも考えていると話す佳秀バイオケムの化粧品開発者“山川雅之”に「クエン酸の肌への影響」について伺いました。私は、大学で管理栄養士の勉強の一つとして生化学を学び「クエン酸」は摂取することで体内で良い働きをしてくれるという認識しか持っていませでしたが、化粧品配合での効果や肌への影響はいろんな観点から見ると複雑だと感じました。
目次
名称の由来
クエン酸の「クエン」は日本在来種のミカン科「丸仏手柑(まるぶしゅかん)」の漢名「枸櫞(くえん)」が語源だそうです。英語では「Citrate」で、柑橘類を意味する「Citrus(シトラス)」が語源となります。
佳秀バイオケム化粧品開発者の山川雅之はこのように言っています。
クエン酸を直接舐めてみると、柑橘類の中でも酸っぱい夏ミカンや橙などの風味を感じ、語源のとおり柑橘類主体の酸であることを妙に納得させられます。
クエン酸の化粧品配合の役割
クエン酸は、キレート剤や酸化防止剤、pH調整剤、収れん剤といった様々な目的で化粧品に配合されます。
キレート剤
水の中にはミネラル成分(=金属イオン)が多く存在しています。カルシウムやマグネシウム等の二価の金属イオンは、化粧水のような液状のものの中で沈殿を起こしやすいです。また、これらの金属イオンは、洗浄系の化粧品に多く存在すると石鹸の泡立ちを妨害して洗浄効果を下げてしまいます。キレート剤は自身が持つキレート(蟹のハサミ)状に、これらの金属イオンを取り込むことで化粧品の安定性を保ち洗浄効果を高める働きをします。
酸化防止剤
クエン酸には、キレート効果による酸化防止効果もあります。化粧品に使用する成分は酸化しやすい成分(例えば油脂やロウ、ビタミンなど)がたくさんあります。これらが酸化してしまうと異臭を放ち、お肌に刺激を与えてしまいます。脂質は金属によって酸化が促進されますので、キレート効果で金属を捕まえてあげると酸化を抑えることができます。
pH調整剤
通常、健康な人の肌(皮脂膜)のpHは4.5~6.5の弱酸性です。皮脂膜は肌のバリア機能として、紫外線やアレルギー、雑菌、病原菌などの外部からの刺激から守ってくれる働きがあります。このバリア機能は弱酸性下で正常に働き、石鹸などアルカリ性の洗浄効果が高いもので洗うと通常の肌の状態である弱酸性に戻るまでに時間がかかり、外部からの刺激によりお肌にダメージがかかります。洗浄後に弱酸性の化粧品で肌のpHを弱酸性に戻してあげることも大事ですし、そもそも使用する洗浄剤を弱酸性のものにすることも大事なのではないでしょうか。よってクエン酸は化粧品のpHを調整するためにも使用されます。
収れん剤
皮脂や汗の分泌を低下させ,肌を引き締める成分として使用されます。化粧崩れ防止として化粧水などに使用されるようです。(アストリンゼントローションなど)
クエン酸の肌への影響
クエン酸の安全性については、有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載されており、適切な化粧品配合量での通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。しかし、佳秀バイオケム化粧品開発者の山川雅之はこう考えております。
化粧品や医薬部外品にクエン酸はよく配合されていますが、これらを塗布・洗身などで皮膚に使用する場合、身体に対する影響はどうでしょうか。シャンプーやボディーソープは、肌や毛髪の汚れだけでなく必要な金属も過剰に洗い流し、髪・肌の傷みの原因になる可能性も考えられます。クエン酸の塗布には刺激があるという文献もありますので、肌に使用しないほうが無難と思います。化粧品が肌に合わなくなる原因の一つに、キレート剤による肌や毛髪からの金属の流出が考えられます。
なるほどなと。人によって全く肌質が異なりますし、化粧品に配合する原料の選出や配合量、調整などは大変ですね。
上記に、必要な金属も過剰に洗い流しとあります。金属の肌での役割について一部ご紹介します。
カルシウムやマグネシウムの肌での役割
カルシウムは骨を作る成分としてよく知られていますが、表皮にも多く分布しています。肌には古い細胞から新しい細胞に変わるターンオーバーという機能があることをご存知かと思われます。表皮にはトランスグルタミナーゼというタンパク質とタンパク質の架け橋を手助けする酵素があり、ターンオーバーの指標の一つとされています。この酵素は外部刺激から守る壁を表皮細胞の膜に作っており、カルシウムイオンが必須で働きます。カルシウムイオンは特に顆粒層に多く分布しており、顆粒細胞から角質細胞へ分化する際にカルシウムイオンは必要となり、肌のターンオーバーに関わっています。
マグネシウムも表皮に多く分布しています。肌の一番外側にある角質層の細胞間には脂質であるセラミドが40-50%占めており、肌の内側から水分の蒸散を防ぎ乾燥から守っています。肌のバリア機能を強化するためにはセラミドを多く保持している必要があります。セラミドの合成にはいくつか代謝経路がありますが、スフィンゴミエリンという複合脂質からスフィンゴミエリナーゼ(酵素)により生産されるセラミドは、皮膚の角質層に多く存在し、この酵素の活性にはマグネシウムイオンが必須となります。
このようにこれらの金属は健康な肌を維持するためには必須成分になります。その他にも肌に必要な金属はあります。キレート効果でこれらの金属がキレート成分に取り込まれて流れてしまうのは避けたいところですね。
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